日本消化器内視鏡学会雑誌
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42 巻, 4 号
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  • 渡辺 一宏, 星谷 聡, 徳永 健吾, 田中 昭文, 今瀬 教人, 菅野 朝, 二宮 英彦, 石田 均, 高橋 信一
    2000 年 42 巻 4 号 p. 807-815
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    近年,Helicobacter pylori(H.pylori)の除菌後に新たに出現したと思われるヒ部消化管の粘膜病変が注目されている.今回われわれは本粘膜病変について除菌治療によりH.pylori陰性が2年以上継続した胃潰瘍27例,十一.二指腸潰瘍31例,胃・十二指腸潰瘍12例,慢性胃炎7例の計77例を対象に検討を行った.2年間の発生率は,逆流性食道炎4/77(5.2%),前庭部胃びらん13/77(16.9%),十二指腸びらん8/77(10.4%)であった.これらの病変はH2受容体拮抗剤の内服にかかわらず発生し,また自覚症状や血清学的検査(血清ガストリン値,ペプシノーゲンIおよびII値,セクレチン値)による発生予測は不可能であった.除菌後のこれらの粘膜病変の多くが.一過性で自覚症状もなく臨床的に問題となる可能性は少ないと考えられた.しかし一部に遷延例3/77(3.9%)やH.pylori潰瘍再発2/77(2.6%)も認められており,さらに今後の長期内視鏡観察と病態.機序の解明が必要である.
  • 半田 和広, 石黒 昌生, 板垣 茂文
    2000 年 42 巻 4 号 p. 816-821
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.平成8年10月,前胸部痛・嘔気を主訴に当院受診した.診察時に吐血し,緊急内視鏡が施行された.上部より下部食道に及ぶ巨大な粘膜下血腫を認め保存的治療を行い,経過は良好であった.第14病日の内視鏡では,血腫の存在した部位に粘膜欠損と食道mucosal bridgeを認め,mucosal bridgeは2年以上残存した.特発性食道粘膜下血腫の本邦報告例23例につきその病態を検討した.
  • 橘 良哉, 柿木 嘉平太, 米島 博嗣, 荻野 英朗, 里村 吉威, 鵜浦 雅志, 三輪 淳夫
    2000 年 42 巻 4 号 p. 822-828
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は43歳男性.主訴は下腿浮腫.著明な低蛋白血症を認め,99mTcヒト楪識アルブミンシンチグラフィーで蛋白漏出性胃症と診断した.上部消化管内視鏡検査でDiffuse varioliform gastritis(以下DVG)の所見を認め,病理学的には非特異的な炎症細胞浸潤を伴う腺窩.上皮の過形成を示していた.DVGによる蛋白漏出性胃腸症と診断し約1カ月間H2受容体拮抗薬で加療行ったが内視鏡所見及び低蛋白血症の改善はなかった.胃粘膜の培養法でHelicobacter pylori(以下HP)が検出されたため,HP関連DVGとして除菌療法を行ったところ内視鏡所見,低蛋白血症とも著明に改善した.
  • 辻崎 正幸, 中原 生哉, 吉本 満, 伊藤 淳, 佐々木 茂, 遠藤 高夫, 今井 浩三
    2000 年 42 巻 4 号 p. 829-833
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は,81歳,女性.胃体部の潰瘍病変が免疫組織学的に胃原発悪性リンパ腫であることが判明した.治療を拒否したため,無治療のまま,約1年間,内視鏡的に病変の時間的変化を観察した.胃悪性リンパ腫の三病変は,すべて,粘膜病変→隆起性病変→潰瘍病変→周囲浸潤→粘膜修復というほとんど同様の過程をとった.胃リンパ腫病変の経過観察において,時間とともに多彩な内視鏡像を呈し,さらに各病変が類似の経過を示す点,リンパ腫の進展を考える上で興味深い.
  • 安田 貢, 梶 雅子, 青木 利佳, 中本 次郎, 坂下 修, 竹内 義貝, 福家 浩三, 高田 淳子, 大黒 隆司, 山ノ井 昭, 鳥巣 ...
    2000 年 42 巻 4 号 p. 834-839
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の女性.幽門輪前壁に皺襞集中を伴うIIcを認めた.病変は72×15mm大,深達度m,組織型sigの早期胃癌であった.小彎側で十二指腸粘膜に最長1.1cmの浸潤を示した.脈管侵襲やリンパ節転移はなかった.早期胃癌の仁二指腸浸潤例の頻度は低く、m癌ではごくまれである.本症例は幽門輪にU1-IVの潰瘍を合併したことで十二指腸粘膜構造物の破綻をきたし,胃癌の十二指腸浸潤を容易にしたものと推測された.
  • 中村 真一, 光永 篤, 深澤 容子, 岸野 真衣子, 小西 洋之, 村田 洋子, 鈴木 茂, 林 直諒
    2000 年 42 巻 4 号 p. 840-845
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性,胃前庭部大彎の1型早期胃癌に対して,アルゴンプラズマ凝固法(argon plasma coagulation:APC)による治療を行った.3日後に致死性不整脈で死亡し剖検を行った.APCの熱凝固効果の到達深度は基本的に粘膜筋板までで,粘膜下層浅層まで拡散状に波及していた.粘膜下層に軽度の線維化と浮腫,炎症細胞浸潤を認め,癌組織が島状に散在していた.治療後早期の病理組織学的所見より,APCの熱凝固効果を観察でき,腫瘍性病変に対する治療手技と適応を検討する上で貴重な症例である.
  • 竹中 龍太, 友田 純, 槙殿 知穂, 村上 敬子, 近藤 淳一, 吉岡 敏文, 坂凪 達朗, 廣田 滋, 大川 尚臣, 淵本 定儀, 柳井 ...
    2000 年 42 巻 4 号 p. 846-851
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は60歳,男性.貧血精査のため近医より紹介.軽度の鉄欠乏性貧血とCA19-9の上昇を認めた.小腸造影検査および小腸内視鏡検査で空腸に全周性のBorrmann2型様の腫瘍を認めた.同部位の粘膜面は粗造で易出血性であった.空腸癌と診断し手術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯より約120cmの空腸にあり,腸間膜リンパ節転移を認めた.摘出標本では腺癌成分のほかにグリメリウス染色陽性のN/C比の高い小型細胞がシート状に配列している像がみられ,内分泌細胞癌と診断した.術後,化学療法を行い11カ月経過したが再発を認めていない.
  • 蒲池 紫乃, 櫻井 俊弘, 西村 拓, 佐藤 茂, 松井 敏幸, 八尾 恒良, 立石 訓己, 長谷川 修三, 二見 喜太郎, 尾石 樹泰, ...
    2000 年 42 巻 4 号 p. 852-858
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    典型的なX線像を呈したMeckel憩室内翻症の1例を経験したので報告した.症例は41歳の男性.1997年4月検診にて貧血,便潜血陽性を指摘され近医を受診.貧血精査のため当科を紹介されて受診.入院時,腹部腫瘤触知せず.軽度の貧血と便潜血陽性所見を認めた.小腸X線検査で回盲弁の口側約70cmの回腸に7×2cmの指状の隆起を認めた.病変は軟らかく容易に形状が変化し,嚢状の病変と考えた.起始部にはKerckring皺襞を思わせる襞様の所見を認め,病変の先端部は粘膜の脱落を伴っていた.以上,特異な形状,病変部位より,内翻したMeckel憩室と診断し,回腸部分切除術を施行.病理組織学的には内翻した真性憩室であった.大部分は小腸粘膜に覆われ,先端の一部にUHIIの潰瘍と異所性胃粘膜を認め,Meckel憩室内翻症と診断した.
  • 大川 清孝, 星野 富美, 黒岡 浩子, 追矢 秀人, 佐野 弘治, 青木 哲哉, 針原 重義, 佃 博, 山本 久美夫, 黒木 哲夫
    2000 年 42 巻 4 号 p. 859-863
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は24歳女性で,回盲部の周堤を伴う大きな下堀れ潰瘍を認め,単純性潰瘍と診断した.腹痛と発熱が持続するため,回盲部切除術を施行した.手術後再び原因不明の発熱が出現し,その精査過程で膣と子宮頸部に多発潰瘍が発見され,腸型べーチェット病と診断した.膣と子宮頸部の潰瘍は抗生物質膣錠にて軽快した.べーチェット病における膣あるいは子宮頸部潰瘍は,本邦でこれまで3例しか報告がなく,極めて稀であり報告した.
  • 志村 純一, 菅野 聡, 玉山 隆章, 田村 光弘, 浮田 雄生, 石黒 淳, 小川 聡, 佐藤 正弘, 前谷 容, 五十嵐 良典, 酒井 ...
    2000 年 42 巻 4 号 p. 864-869
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵管ステントが奏功した膵膿瘍の1例を経験した.症例は55歳男性.アルコール性慢性膵炎で通院していた.平成9年2月20日背部痛が出現し,同26日に当院を受診した.血清アミラーゼは275Uと軽度上昇,CRPは34.2mg/dlと高値を示した.CTで膵嚢胞と膵尾部から左腎にかけての浸出液を認め,重症膵炎と診断し入院した.保存的治療で炎症反応は改善したが,第15病日にCRPが再上昇した.左腎周囲滲出液の感染を疑い,経皮的ドレナージを行った.多量の膿汁の排液があり,同部位の腔は縮小した.しかし膵尾部付近の仮性膵嚢胞は増大し,炎症反応も再上昇したため,経乳頭的膵管ステントによるドレナージを行った.膵嚢胞の縮小とともに炎症反応も正常化し,以後症状の増悪なく退院した.経過良好で挿入3カ月後に膵管ステントを抜去したが,炎症が再増悪したため再留置した.以後3カ月毎に経過観察を行い,仮性嚢胞の再発,主膵管の拡張等でステントの交換を反復した.16カ月目にステントを抜去し,28カ月の現Xf:まで経過良好である.
  • 宇野 良治, 韓 英, 石黒 彩子, 三上 達也, 佐々木 賀広, 棟方 昭博
    2000 年 42 巻 4 号 p. 870-873
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     シャフトの硬度を変換出来る大腸内視鏡(オリンパス社製XCF 240 AI)が開発された.今回,CF 240 I(オリンパス社製)を対照として挿入時の疼痛の強さ,盲腸到達時間,硬度変更の割合と部位を検討した.XCF 240 AIとCF 240 Iの挿入時間に差は認めず,挿入時の疼痛はXCF 240 AIが有意に少なかった.XCF 240 AIでは半数にS状結腸の再ループを認めたが,硬度を.上げることにより防止できた.以上から,XCF 240 AIはCF 240 Iに比して操作性を損なうことなく挿入時の疼痛が少なく,従来の大腸鏡を凌ぐものである.
  • 2000 年 42 巻 4 号 p. 874
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 4 号 p. 879-885
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 4 号 p. 886-899
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 4 号 p. 900-905
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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