日本消化器内視鏡学会雑誌
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出血性胃十二指腸潰瘍に対するショートクリップの使用経験
飯塚 雄介光永 篤鈴木 茂林 直諒
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2002 年 44 巻 2 号 p. 176-182

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抄録

 今回われわれは出血性胃十二指腸潰瘍に対しショートクリップ(オリンバス社製HX600135S)による止血術を試みた.ショートクリップは従来の止血用クリップ(同社製HX600 135)に比べ組織把持部分が約2mm短いため,クリップ先端が潰瘍底を滑りにくく露出血管の結紮がこれまでより確実に行える.クリップが掛かりづらい接線方向の病変に対しては先端突出長4mmの軟性透明フードを併用し正面方向からアブローチした.対象の出血性胃十二指腸潰瘍12例全例で初回完全止血に成功し再出血は認められなかった.用いたクリップの個数は1~3個(平均2.2個)で,出血点を発見してから治療終了までに要した時間は何れも15分以内であった.治療に伴う潰瘍の拡大や合併症も認められなかった.ショートクリップは従来の止血用クリップに比べ組織把持部分が短くなったことで露出血管まを確実に結紮できるようになり止血効果に優れていると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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