日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
原著
腹腔鏡下肝切除術は手術部位感染の頻度を減少させたか
―傾向スコアマッチングを用いた開腹下肝切除との比較検討―
田中 肖吾竹村 茂一新川 寛二天野 良亮木村 健二郎山添 定明大平 豪西岡 孝芳田内 潤伊藤 得路宮崎 徹石原 敦久保 正二
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2019 年 16 巻 1 号 p. 34-40

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抄録

(背景)腹腔鏡下肝切除の手術部位感染(SSI)に対する影響は知られていない。(患者・方法)2007. 2016年に肝細胞癌に対し腹腔鏡下肝切除を施行した 193例(LH群)および開腹下肝切除を施行した 314例(OH群)に対し傾向スコアマッチングを行った結果,片群 117例ずつ抽出された。2群間の SSIを含めた治療成績に関して比較検討した。(結果)術後合併症の頻度は LH群で低かったが( P=0.038),SSIの頻度は 2群間で差は認められなかった(3例vs 6例, P=0.499)。切開創 SSIは LH群 1例 /OH群 4例( P=0.370)および臓器 /体腔 SSIは LH群 2例 /OH群 2例に認められ( P=1.00),有意差はみられなかった。ただし完全腹腔鏡下 84例では切開創 SSIは認められなかった(P=0.087 vs OH群)。(まとめ)傾向スコアマッチングの結果,腹腔鏡下肝切除と開腹下肝切除では SSI発症率に差が認められなかった。

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© 2019, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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