2019 年 16 巻 1 号 p. 41-46
手術部位感染(surgical site infection:以下,SSI)のリスク因子は,患者因子,手術因子,微生物因子の 3つに分類される。患者因子には介入不可能ないしは困難なものが多く,手術因子の大部分は介入可能である。介入が可能な因子は,各種の SSI防止ガイドラインなどに SSI防止対策として推奨され,実践されている。さらに,研究による新たな知見や新たなデバイスを用いた新たな防止対策が開発され,実務に応用されつつある。一方,介入が困難あるいは不可能な因子は,SSIサーベイランスによる SSI発生状況の評価を行う際に調整に用いる。リスク調整は当初,少ない数の因子で行われていたが,今ではより公平な調整を行うために多数の因子を用いる傾向にある。SSIのリスク因子を探索する研究と,その結果を SSI防止対策やサーベイランスといった実務への活用は,今後も継続して行われなければならない。