抄録
地球表層に存在するBeの同位体のうち、安定同位体9Beは地殻中に存在し、河川および大気を経由して海洋へと供給される。一方、宇宙線生成核種である10Beは主に成層圏で生成し、降雨と共に海洋表層へと供給される。インド洋における報告値は南西部に位置するモザンビーク海峡の1観測点に限られている。本研究ではインド洋における10Be濃度の鉛直分布を明らかにし、西部北太平洋との比較を行う。
インド洋における10Be濃度の鉛直分布は、表層では550atoms cm-3を示し、深層に向かい1800atoms cm-3まで直線的に増加する傾向を示した。太平洋で観測された鉛直分布は0mから750mまで一定の値を示し、750mから1500mまで急激に増加し、1500m以深では約1600atoms cm-3で一定の値を示した。インド洋と太平洋の10Be濃度の鉛直分布は増加傾向が異なることがわかった。