抄録
約半世紀の間、同位体分別の原因は、アイソトポマー間の分子振動準位の違いのみにあると信じられており、分別係数εは、同位体の質量にのみ依存すると考えられてきた。しかし1996年、核の体積差によってアイソトポマー間で電子状態が異なることに起因する、同位体分別の核の体積効果が主張された。現在では体積効果が、特に重元素における同位体分別の主要な駆動力になっていることが知られている。また核の体積効果は、質量数に非線形の応答を示す場合があり、質量非依存分別の原因になりうる。我々はこの核の体積効果について、理論計算から分別係数を見積もる手法を見出した。当日の発表ではウランの同位体分別を例に説明する。