抄録
社会基盤を支えるコンクリート構造物は、その長期耐久性が期待されている一方、早期劣化が大きな問題ともなっている。コンクリートの主な劣化要因のうち、中性化はすべてのコンクリート構造物に関わる現象である。中性化は、コンクリートのセメント水和物と大気の二酸化炭素が反応することにより進行することから、コンクリート中の炭素の挙動は組織あるいは物理強度の変化を直接反映すると考えられる。この組織劣化の指標として、その化学的定量性・感度から信頼性が高く、かつ反応時間の指標としても適用可能な放射性炭素14Cに着目する。本研究では、耐震改修工事の進む名古屋大学校舎を利用し、14C法によるコンクリートの約40年間の定量的劣化度評価の可能性を検討した。