抄録
高知市中心部において1994 年9月~2001年12月に採取した降水のpHは平均4.7でほぼ一定であったが,電気伝導度は減少傾向を示した。降水のバックグラウンドpH値は5.1で,ほぼ一定であった。降水の酸性度ポテンシャルと中和ポテンシャル(NP)は 連動して変化しており,このことが降水のpH値が変化しなかった主な原因であると考えられる。黄砂は降水中のnss-SO42-とnss-Ca2+の増加に寄与し,台風は海塩由来成分の増加に寄与していた。
降雨開始から雨量3mmまでは,降雨の進行に伴って各成分の濃度が顕著に減少する傾向が見られたが,雨量4mm以後は減少傾向は顕著でなくなった。降雨成分濃度の減少が顕著な雨量3mmまでは[NO3-]/APが減少する傾向が見られたが,他の成分の組成比はほとんど変化していなかった。