抄録
複雑なテクトニクス場にある九州において,フィリピン海プレートの沈み込みに関連した火山活動の開始時期を探るため,広い範囲から複数の新第三紀~第四紀玄武岩試料を採取し,それらのホウ素含有量の時間・空間変化を調査した.中部火山フロントの阿蘇,霧島玄武岩類が著しく高い値を,北部,南部火山フロント玄武岩類は低い値を示す.この島弧縦断方向の変化は,北部,南部,中部火山フロント直下にそれぞれ四国海盆,九州-パラオ海嶺,西フィリピン海盆という年代の異なるセグメントが沈み込んだ影響を反映している可能性がある.また,背弧側玄武岩類および後期中新世~鮮新世玄武岩類が持つ微量のホウ素は,過去の海洋プレート沈み込みによって供給された流体の影響を反映している可能性があり,九州におけるフィリピン海プレート由来流体の供給に関連した火山活動は,第四紀以降の火山フロントに限られるのかもしれない.