抄録
深部地下水の挙動を実測した研究報告は限られている。このため、地下深部への放射性廃棄物処分を計画立案において、深部地下水の滞留時間の実態把握とデータ蓄積が望まれている。本研究では、地下深部における地下水の停滞状況を把握する手法として、H-3法、C-14法、Cl-36法などの複数の地球化学年代測定手法を地下深部から採取した地下水に適用した。地下水試料は、地下数百mのボーリング孔を利用し、マルチパッカーシステムを設置して、地表付近から深度350m付近まで、深度別に採水した。
その結果、深度別の地球化学年代には明瞭な差が確認され、地下水流動系が層状を成していることが示唆された。