抄録
鉄マンガンクラスト(以下クラスト)とは鉄やマンガンを主成分とした深海底化学堆積物である。コバルトや白金、REE等多くの金属元素を濃集していることや、百万年に数 mmという遅い速度で層状に成長していることから、金属資源鉱床や古海洋環境を記録する媒体として利用できる可能性がある。しかし、クラストの成長機構やクラストへの元素濃集機構に関して未解明な部分が多く、その利用は現段階では実現していない。本研究では、海山の斜面に沿って産状を把握しながら試料の汚染なく連続的に採取したクラスト試料を用いて、クラスト中の主要・微量元素組成に制限を与える要因を明らかにすることを目的に、研究を遂行した。ICP-MS及びICP-AESを用いて、現在の海洋環境を反映している可能性が高いクラストの最表層の元素濃度を測定し、AMSを用いてクラストの成長速度を明らかにした。