2020 年 76 巻 7 号 p. III_327-III_335
オープンデータを活用し,下水処理場シミュレータを利用して下水処理場の栄養塩類供給機能(能動的管理)をエネルギー回収機能と併せ,そのポテンシャルを総合的に評価した.季節別運転の対象となる冬場の運転実績データを利用しての試算によると,脱窒抑制運転では処理水硝酸性窒素(NO3-N)は10~13mg/Lに増加し窒素供給量は62%の増加となっていた.硝化抑制運転では処理水アンモニア性窒素(NH4-N)は12~15mg/L に増加し窒素供給量は85%の増加となっていた.使用電力量は脱窒抑制運転では増加するものの,硝化抑制運転では減少していた.「常時硝化抑制+ウキクサ培養」という能動的管理手法では,窒素回収率70%の条件で,冬場には16~20mg/Lの窒素が供給でき,年間放流負荷量から計算した放流水窒素濃度は5.3mg/Lであった.一方,発電量は年間平均値で39,670kWh/日となり電力自給率104%と年間でも電力自立可能と試算された.