抄録
本研究では、HNLC海域への主要な鉄供給源である黄砂中の鉄含有鉱物の特性をマルチサイズ解析によって明らかにし、エアロゾル-海洋-気候フィードバック機構への影響を評価することを目的とした。黄砂中の豊富な塩基性化学種により、福岡で採取した時点で鉄酸化物は酸性環境による溶解性上昇を受けておらず、HNLC海域への主要な鉄供給源は層状ケイ酸塩(~60 % Fe)であることが明らかになった。また、層状ケイ酸塩中に存在するα-FeO(OH)やFe(OH)3のナノ粒子(<<35 % Fe)は植物性プランクトンに素早く消費されるため、栄養塩としての寄与が大きいと言える。ダスト起源の鉄がHNLC海域へ及ぼす影響を正確に評価するためには、本研究で見られたような生物活性の高い粒子の存在を定量的に分析することが重要である。