抄録
大気微粒子の負の健康影響が注目されており、疫学的研究から大気微粒子の増加が肺癌リスクの上昇と相関を持つことが示唆されている。本研究では都市大気における重元素、特にFeを含む超微粒子の存在形態、他元素との混合状態を明らかにし、生体影響を評価することを目的としている。大気試料は福岡県、東京都、長崎県の3地域で採集した。XANES解析の結果、Feは主に3価で存在していた。TEMを用いた個別微粒子分析では、粒径1 ?m以下のFeを含む粒子では球状でスピネル構造を持つ酸化物の割合が高く、また硫酸塩やSiと共存していることが分かった。更にFeだけでなくMn, NiやCrなどの他の重元素と混同した粒子が存在していた。共存重元素の影響により、Feの体内への放出速度が遅くなる可能性が考えられ、Feイオンだけでなく、Fe酸化物粒子表面で起きる反応の重要性が示唆された。