抄録
高時間解像度で海洋環境を復元可能なハマサンゴ骨格中の微量元素比は従来からICP-MS, ICP-AESなどを用いて分析が行われきた。試料の導入法としては溶液が一般的であるが、近年新しく固体試料を直接導入する手法として、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)を用いた手法が登場してきた。LA-ICP-MSは従来の溶液による導入法と比べて、迅速に高解像度で分析が可能であるという利点がある一方で、必ずしも高解像度のデータが水温、塩分といった環境情報を反映していないということが指摘されており、データの解釈という面で溶液での分析に比べて難しいというのが現状である。そこで、本研究では、鹿児島喜界島で採取された435年の記録を持つ現生サンゴのLA-ICP-MSによる分析結果とその一部の年代のICP-AESを用いた溶液による分析結果を比較することにより、LA-ICP-MSによるデータの再検証を行い、LA-ICP-MSによる分析の有用性について検討した。