抄録
群馬県赤城火山、足尾山地南部、利根川中流低地帯の温泉水・湧水を対象に、主成分および水素・酸素・硫黄同位体分析を実施し、地質鉱物学的視点に立って深部流体の起源と水質形成機構を検討するとともに、水-鉱物相互作用の化学平衡論により検証した。その結果、(1)温泉水は降水と2種の化石海水の混合によって形成された(2)温泉水・湧水の水質は、方解石の溶解、斜長石の風化作用、陽イオン交換反応、続成作用に規制される(3)温泉水の硫酸態硫黄は化石海水に溶解した石膏・硬石膏を起源にしており、その濃度は硫酸還元反応の進行に規制されることなどが明らかとなった。さらに、利根川中流低地帯の北東と南西温泉群で水-鉱物相互作用に違いが認められており、この境界付近に利根川構造線が伏在する可能性を指摘した。