抄録
海洋表層の懸濁粒子の分布や物理・化学的特徴を明らかにすることは、海洋における物質循環過程の理解につながる。本研究では、北太平洋とその縁辺海で採取された表面海水中の懸濁粒子の粒径や化学組成を、バルク元素分析と個別粒子分析から定量的に計測し、1970年代以降基本的な知見のほとんどなかった北太平洋およびその縁辺海における懸濁粒子の化学成分のマッピングデータを得た。北太平洋表面水中の懸濁粒子の粒子数、粒子体積、主要化学成分濃度は生物生産に強く影響を受けており、いずれの海域においても、粒子数には有機物粒子、粒子体積には生物起源のケイ素やカルシウムを主成分とする粒子の占める割合が大きかった。一方、大陸河川の影響の大きい縁辺海のべーリング海・チュクチ海では、粒子個数・粒子体積濃度は北太平洋海域の10倍以上と見積もられ、大陸河川からの陸起源物質の供給が縁辺海の豊富な懸濁粒子量を支えていることを示唆していた。