抄録
近年,様々な温度圧力範囲の実験が行われており,流体やメルトの生成時における元素の挙動が明らかになりつつある.しかし,特に流体―マントル構成鉱物間の分配係数は,低温での実験自体の困難さもあって,精度よく決まっているとは言い難い.また,流体の実体は温度圧力に敏感で連続的に変化すると考えられるため,流体の発生や移動に伴う元素の挙動に不定性が生じる.本発表では,第四紀火山岩に基づく地球化学的インバージョンによる島弧遷移帯におけるマントルの温度構造の変化を明らかにすることを目的とする.その際,上記の流体高圧実験の不定性を考慮して火山岩の生成条件がどの程度正確に求められるかを評価した.その結果,中部日本から東北日本にかけてのウェッジマントルにおける流体の挙動,温度構造について制約を与えることができた.