抄録
統合国際深海掘削計画第310次航海のサンゴ礁掘削において得られたタヒチの化石サンゴ中の地球化学的間接指標(特にホウ素同位体と放射性炭素)を用いて最終退氷期における赤道太平洋の古環境復元を行った。最終退氷期のうちヤンガードリアスイベントとハインリッヒイベント1に海洋表層水のpHの低下(pCO2の上昇)と大気よりもはるかに古い放射性炭素年代が得られた。これらは氷期に深層水に蓄えられていたと考えられている大量の溶存炭素が最終退氷期の特に上記の2つの時期に海洋循環を通して表層水にもたらされた可能性を示唆している。また、この時期に赤道太平洋は現在よりもはるかに大きな二酸化炭素の放出源となり、大気中の二酸化炭素濃度上昇に寄与していた可能性がある。