抄録
水圏における地球化学的な幾つかの問題に関連する微生物生態系を対象とし、数理生物学的アプローチによって物理化学的な現象と生命現象との関係の背後に潜む法則性を見いだそうとしてきた試みについて紹介する。具体的には(1) 二酸化炭素濃度上昇に伴う植物プランクトン-海洋pHのフィードバック応答、(2) 植物プランクトンによる残留性有機汚染物質の吸着過程、(3) 化学合成細菌の増殖と系の反応ギブス自由エネルギー、の3つのテーマについて、微分方程式によって微生物の動態を記述した数理モデルの数理解析並びにシミュレーションによる数値解析の結果から明らかになったことについて紹介する。本講演を通し、数理生物学的なアプローチを地球化学分野の諸問題における現象解明や将来予測に役立てることの可能性について話題提供したい。