主催: 日本地球化学会年会要旨集
東北地方太平洋沖地震に起因する福島第一原子力発電所の事故により、原発周辺の広範囲の地域で放射性セシウム(Cs)による土壌汚染が深刻な問題となっている。原発周辺では、土壌中に普遍的に含まれている陽イオン交換能を有する粘土鉱物がCsの取り込み媒体である可能性が指摘されている。一方、溶液中の主要陽イオンが高濃度である場合、強固に保持されたCs+であっても他の陽イオンとの交換によってCs+が溶出する可能性が指摘される。主要陽イオンによる粘土鉱物からのCs+の溶出挙動の予測は、放射性Csの天然環境における拡散挙動や健康影響の評価に不可欠である。本研究では、福島第一原発周辺に分布する土壌の土壌中の粘土鉱物を用いて、主要陽イオン(Na+,K+,Mg2+,Ca2+,NH4+)添加による133Csと137Csの脱離挙動を系統的に検証すること目的とした。