抄録
炭素質隕石には多様な有機化合物の存在が報告されている。特に含酸素化合物は多様性に富んでおり、隕石有機物の生成時における酸素の挙動が重要と考えられる。本研究では、2つのCM2隕石(Murchison、Murray)の粉末試料を種々の溶媒で抽出し、元素・同位体比分析、赤外分光分析 (FT-IR)、液体クロマトグラフ分析、プロトン核磁気共鳴分析 (1H NMR)を行い、隕石有機物中の含酸素化合物の化学構造の解明を試みた。測定された酸素含有量と同位体比からメタノール画分は始源的な有機物酸素に富んでいると推測された。また、FT-IRでは1120cm-1付近にC-O伸縮に由来すると考えられる吸収が顕著であり、エーテル化合物の存在が示唆された。1H NMRでは飽和脂肪族アルキル鎖の存在が示唆された。これらの結果から、メタノール画分中の含酸素化合物の大部分が環状エーテルに分岐アルキル側鎖のついた構造であると考えられる。