抄録
熱水起源の鉱石の年代測定について,硫化鉱物や重晶石を用いた年代測定が試みられてきたが,同様に熱水活動域に産する硬石膏を用いた年代測定はこれまで試みられたことはない.硬石膏の年代測定が可能になれば,熱水活動の変遷史をより詳細に議論できる可能性がある.
本研究では硬石膏のESR及び放射非平衡による年代測定を試みた.放射性核種の定量から228Ra/228Th年代として,2.3年と2.0年が得られた.また,ESR測定においてSO3-ラジカルと考えられる信号が観測された.γ線の吸収線量に伴い信号強度が増大したため,硬石膏を用いたESR年代測定が可能であると考えられるが,得られた年代はほぼ0年であった.これは,228Ra/228Th年代と同様の若い年代を示すという意味では調和的であるが,ESR法の下限についての詳細な議論が必要である.