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一酸化二窒素(N2O)は温室効果気体であると同時に、成層圏オゾン破壊物質である。対流圏と比べて成層圏のN2O濃度観測例は少なく、アイソトポキュル比(種々の安定同位体を含む分子の存在比)の観測例はさらに限られている。本研究では、消滅先である成層圏でのN2Oの挙動を明らかにすることを目的として、クライオジェニックサンプラーを搭載した大気球を用いて2015年8月に北海道大樹町でサンプリングを行い、混合比およびアイソトポキュル比を測定した。高度の上昇とともに、N2O混合比は減少し、アイソトポキュル比は増加した。この傾向は紫外光分解における同位体効果と整合するが、アイソトポキュル比と濃度の関係をRayleighモデルで解析したところ、いくつかの高度において過去の日本上空における観測結果とは異なる特徴もみられた。