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鉄マンガン酸化物は、海洋環境に広く存在する鉄水酸化物及びマンガン酸化物の凝体であり、海洋中の様々な微量元素を濃集する。その中でモリブデン(Mo)は鉄マンガン酸化物に軽い同位体が選択的に取り込まれ、2 0/00程度の同位体分別を示す事が報告されている(Baring and Anbar, 2004)。Mo同位体比の変動は古海洋酸化還元状態の指標になると考えられており、実験室内での吸着実験やXAFS測定による表面構造解析によって同位体分別機構が考察されている(e.g. Kashiwabara et al., 2009)。一方、マンガン酸化物にはバーネサイト及びバーナダイトが存在し、同一条件で、これらの吸着時のMo同位体分別係数を比較した例はほとんどない。そこで本研究では、バーネサイト及びバーナダイトをそれぞれ作り分け、それぞれに吸着する際のMo同位体分別係数を調べ、結晶度の違いが同位体分別係数に与える影響を考察することを目的とした。