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2011年3月に発生した東日本大震災に起因し、福島第一原子力発電所において原発事故が発生した。事故に伴い、多くの放射性同位体が放出され、福島県を中心に放射能汚染へと発展した。本研究で着目するセシウムには3つの代表的な放射性同位体(Cs-134, Cs-135, Cs-137)が存在する。Cs-134およびCs-137は原発事故直後から重点的に研究され、汚染マップの作成も行われてきた。一方、Cs-135は長半減期であるために放射線による測定が困難であり、研究報告例が少ないのが現状である。事故が発生した3つの原子炉は個々で異なるセシウム同位体比をもつため、Cs-135を含めた3つの放射性セシウム同位体を用いた同位体比を測定すれば、原子炉ごとの汚染寄与率の推定が期待できる。本研究では、セシウム同位体比の分析法を確立し、福島第一原発付近で採取した土壌試料へ応用することが目的である。