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放射性ヨウ素(I-131やI-129)に関する環境中の存在状態や動態については放射性セシウムに比べると報告例が少ない。そこで本研究では水溶液中のヨウ素の化学形態を知るために、電気化学的手法に着目して、ヨウ化物イオン、ヨウ素酸イオン、有機体ヨウ素の電気化学的挙動をサイクリックボルタンメトリーにより調べた。電極とヨウ素溶液の全ての組み合わせの中で、酸化還元挙動を示したのはヨウ化物イオンのみであった。銀電極を用いた場合、電極表面におけるAgIの生成が確認され、検出限界はおおよそ10 nM(1.3 ppb)であった。外部ノイズ等の軽減により、さらなる高感度化が可能になると考えられる。今後は、銀電極にヨウ化物イオンを濃集できる特性を利用して、ストリッピングボルタンメトリー等を用いた高感度分析への応用が考えられる。