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エアロゾル中の人為起源鉄が地殻に対して低い安定同位体比を持つことを検証するため、人為起源鉄の発生源付近(トンネル、焼却場、バイオマス燃焼等)で採取したエアロゾル、焼却灰・飛灰に対して鉄安定同位体比と化学種の観点から分析を行った。鉄化学種はいずれも水酸化鉄の割合が高く、燃焼後の反応により水酸化鉄が生成することが示唆された。また、燃焼前後で同位体比が変化することから、燃焼の際の気化によって低い同位体比を持つ鉄が生成することが示唆された。燃焼起源物質中の鉄安定同位体比は、他の天然の物質と比べても低い値であり、これを人為起源鉄のトレーサーとして用いることで、海洋大気におけるそれらの寄与を評価することが可能になると考えられる。