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ベンゼンは,平面分子構造の中に非局在化したπ軌道を持つ炭化水素分子である.そのため,ベンゼンそれ自身はもちろん,芳香環を基本骨格に持つ多環式芳香族炭化水素(PAHs)は,他の不飽和炭化水素に比べて化学的に安定である.そして,ベンゼンやPAHsは自然界の様々な場所(例えば,隕石中,惑星大気中,星周囲の物質,地球表層,地球深層等)に存在していることが知られている.近年,地球深部での芳香族炭化水素の挙動は,地球内部の炭素循環を考える上で注目されつつある. 本研究では,多段階衝撃圧縮でベンゼンを高圧高温状態にさせ,その回収試料の直接分析を行った.これにより,広範な圧力温度領域においてベンゼンが取り得る化学的ならびに物理的挙動を検討した.