抄録
多くの物理システムは非線形かつ連続時間系である。このようなシステムを対象としたガウシャンプロセス(GP)モデルに基づくノンパラメトリックな同定法が提案されている。しかし、この同定法では特に非線形部が多変数関数で表されるシステムの場合、一組の入出力データのみでは変数領域における同定用データのトラジェクトリに粗密が現れ、データが疎である箇所では非線形関数の推定精度が劣化する。そこで本稿では、複数組の同定用入出力データを用いて独立にGPモデルによる同定を行い、推定された複数の事後分布の平均化により一つの最終的な推定事後分布を得る手法を提案する。シミュレーション実験により、本手法の有効性を確認する。