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現在、冬型と夏型のモンスーンに伴い、バイカル湖上空の気圧は乾燥した高気圧、湿潤な低気圧と、季節によってまったく異なった環境下に置かれる。この対象的な気候変動は、植生に大きな影響を与える可能性がある。近年の完新世古気候解析の研究から、完新世は安定した時代ではなく、モンスーンやエルニーニョなどの気候イベントがmillennium-scaleで繰り返されていたことが明らかとなってきた。現在と同様の大気メカニズムで、完新世にmillennium-scaleのおおきなモンスーン変動があったとすれば、バイカル湖上空の気圧変化は乾燥と湿潤の対極的変動をしていると考えられ、それらの変動は過去のバイカル湖周辺の植生に大きな影響を与えていた可能性がある。さらに、この変動は、バイカル湖堆積物中の陸上植物のバイオマーカーであるリグニンフェノールに記録されていると期待される。そこで、本研究では、完新世におけるバイカル湖古植生の変動を、リグニンフェノールを用いて解明することを試みる。