熊本市は阿蘇山西麓域の豊富な水源により上水道のすべてを地下水で賄っているため、地下水の質や量などの管理が重要となっている。当該地域では高度経済成長期以降、NO3-濃度の上昇が顕著化しており、その混入源を特定するために地下水の起源や流動様式を把握する必要がある。近年、同位体を使ったアプローチとして、地下水への海水や深部起源流体などの流入把握にB,Liの同位体比を用いる研究が報告されている。両元素の同位体比はδ値で-5‰から+30‰程度の幅広い値をとるために起源推定に有用である。本研究では、熊本市及び周辺地域における地下水試料を対象にB,Liの濃度と同位体比の測定を主要溶存イオンや水の酸素・水素同位体分析とともに行い、当該地域を流動する地下水の起源把握を試みた。また、2016年4月に発生したM7.3の熊本地震により湧水の枯渇や地下水の混濁などの現象が認められたため、水質の変化についても両同位体比から検討を行った。