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軽元素の安定同位体組成は、物質循環の有効な指標として利用されてきたが、これまでは分子全体の単一(もしくは複数)元素の同位体比として扱われることが多かった。多様な同位体置換で一分子種には、多数の相互に異なる同位体置換分子種(同位体分子、アイソトポログ、アイソトポマー、アイソトポキュール)が存在する。同位体分子には、3つの先端的置換要素;部位別同位体分布(PSIA)、多重同位体置換(Clumped)、非質量依存同位体分別(MIF)があり、原則的にMIFは大気化学、PSIAは代謝、Clumpedは温度の良い指標となることが見出されてきた。さらに、今後はこれらを融合的に用いることで地球化学の諸課題を深く解析することが期待されている。3要素計測法とともに昨年度開始の科研費計画により導入した高分解能質量分析法の得失についても概観し、先端計測法の開発による新たな地球化学トレーサーの方向性について議論する。