日本地球化学会年会要旨集
2019年度日本地球化学会第66回年会講演要旨集
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G01 大気微量成分の地球化学
モンゴル・ウランバートルにおける大気粉塵中の有機化合物を指標とした環境評価
*鈴木 雄太山本 鋼志三村 耕一
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p. 11-

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抄録

UNICEFによると,ウランバートル(UB)の冬期大気汚染レベルは世界最悪といわれており,WHOの定める一日当たりの環境基準値の133倍にも及ぶPM2.5が観測された.我々の研究グループは,UBの大気粉塵量が多い冬期に有機化合物を多く含むことを示唆した.そこで本研究では,UBの大気粉塵中の有機化合物を指標としてその起源を探るとともに,発がん性物質である多環式芳香族炭化水素(PAHs)の同定・定量を行った.脂肪族炭化水素からは,陸上の高等植物の特徴がみられたが,高等植物のCPI値と比べると偶数炭素数の炭化水素の存在度が高く,化石燃料の燃焼の影響を受けていると考えられる.芳香族炭化水素に関しては,発がん性が認められているPAHsが冬期のサンプルから50 ppm程度検出された.また,Yunker et al.(2002)によって提唱されたDiagnostic ratioを用いた起源推定では,UBの大気粉塵は車両起源の粒子は少なく,石炭燃焼起源のものが多いと考えられる.

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