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陸上の湿原環境においてアーキアおよびバクテリアが生産するテトラエーテル脂質の分布を調査するため、尾瀬湿原から採取した泥炭コア中に含まれるテトラエーテル脂質の分析を行った。ジクロロメタン:メタノール(9:1)を用い、超音波による抽出を行い、得られた抽出物はHPLC-APCI-MSによって分析した。その結果、アーキアが生産するテトラエーテル脂質であるIsoprenoidal-GDGTが検出された。Isoprenoidal-GDGTにはiGDGT-1~3の他、Crenarchaeolが検出された。これは尾瀬湿原におけるThaumarchaeotaに近縁のアーキアの存在を示している。また、深度 295cm-300cm の部位からはバクテリアが生産するとされているBranched-GDGTも検出された。