隕石中の60Niは、太陽系初期に存在した消滅核種の1つである60Fe(半減期260万年)の壊変に由来する過剰を示すことがあり、年代測定に利用することができる。従来、隕石を含む一般のケイ酸塩試料からのNiの分離には、ジメチルグリオキシム(DMG)とNiの錯形成反応が利用されてきたが、この方法にはDMGの分解に長時間を要する問題点があった。これに対して、近年、DMGを用いないNi分離法として、塩酸–酢酸混合溶液によるイオン交換クロマトグラフィー法が新たに考案され、Niに富む(>1000 ppm)ケイ酸塩試料については応用が進んできている(e.g., Spivak-Birndorf et al., 2018)。本研究では、先行研究の塩酸–酢酸混合溶液によるNi分離法を検証・改良し、分化隕石などのNiに乏しい(<100 ppm)ケイ酸塩試料への応用を試みた。