日本地球化学会年会要旨集
2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
会議情報

G01 大気とその境界面における地球化学
土壌由来一酸化二窒素の三酸素同位体組成
*黄 天政角 皆潤Kim Yongwon中川 書子伊藤 昌稚
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 2-

詳細
抄録

温室効果気体である一酸化二窒素 (N2O) の多くは、土壌中においてアンモニア (NH4+) の酸化反応である硝化や、硝酸 (NO3-) の還元反応である脱窒などの微生物反応により生成される。従来はδ15Nやδ18Oという安定同位体比を指標に用いて土壌由来N2Oの生成過程を解析するが、これらの同位体比はN2Oの生成・分解の各過程で同位体分別してしまうため、解析が困難となる問題があった。これに対して、三酸素同位体組成 (Δ17O) であれば、同位体分別の影響がキャンセルされて、N2O中のO原子の起源が直接的に反映されるため、ここからN2Oの生成過程に関する情報を引き出せる可能性がある。そこで本研究は、土壌から放出され、積雪に蓄積していたN2OのΔ17Oを分析してN2Oの生成過程を解析した。その結果、積雪に蓄積したN2Oは周辺大気中のN2OよりΔ17O値が低下する傾向が見られ、積雪に蓄積したN2Oの多くは、硝化反応により生成したものと結論した。

著者関連情報
© 2021 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top