主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
p. 48-
本研究は放射性炭素(14C)濃度、メタンのクランプト同位体および希ガス同位体を含む複数の地球化学的指標を組み合わせて、蛇紋岩に関連したメタンの炭素源および生成した場所の制約を行った。研究対象は蛇紋岩体直上に位置する水素とメタンガスに富む強アルカリ性温泉である。メタン中の14C濃度が検出限界付近であるのに対し、揚湯パイプ壁面上に形成した炭酸塩中には50pMC以上の14Cが含まれていることが分かった。メタンのクランプト同位体から見積もられたメタンの生成(あるいは最終平衡)温度は200℃以上であり、メタン生成が起きた場所は天水が循環する深度よりも深部であると推定された。希ガスの同位体組成は深部起源ヘリウムの高い寄与率を示し、白馬八方温泉に深部起源ガスの浸入があることを支持する。本研究の結果は、メタンが主に地下深部で生成され、その後に浅部で循環する天水に取り込まれたことを示唆する。