主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
p. 49-
地震発生時には断層沿いに摩擦発熱が生じて、断層帯内部で岩石と水の物理化学反応が劇的に進行する。オリビンを用いた地震性高速摩擦実験とX線吸収端近傍構造(XANES)分析の結果、(1)地震時の数秒程度の剪断破壊によってオリビン中の鉄の酸化反応が進行すること、(2)この動的酸化反応はナノスケール破壊粒子と摩擦発熱によって超臨界状態となった水との反応に起因すること、(3)剪断エネルギーと酸化反応量に相関があることがわかった。本研究で明らかとなった剪断エネルギー(地震マグニチュードに変換可能な量)と酸化反応量の相関と、地震観測のデータを組み合わせれば、今後、地下生命の代謝に必要な酸化還元エネルギーが地震によってどの程度生み出されているのかを評価することが可能となる。