窒素 (N)は生命必須元素の一つであり,火星の環境進化の重要な指標となりうる.本研究では,火星における窒素の挙動を理解することを目的に,「火星アナログ試料」としてスヴァーバル諸島のBockjford Volcanic Complexの玄武岩質溶岩 (BVC試料) に注目する.BVC試料に含まれるALH 84001に類似した炭酸塩鉱物および共存する粘土鉱物を対象に,岩石組織観察および主要元素分析,局所窒素X線吸収微細構造 (μ-XAFS) 分析を実施した.その結果,炭酸塩小球では窒素濃度が極めて低い (数ppm以下) 一方,粘土鉱物はアンモニアを保持することが分かった.これらの二次鉱物を晶出した流体の組成について,さらなる議論が必要である.