日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G5 古気候・古環境解析セッション
宝石サンゴのカルサイト骨格におけるSr安定同位体(88Sr/86Sr)分別
*吉村 寿紘若木 重行岩崎 望石川 剛志大河内 直彦
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p. 102-

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抄録

海洋のSrはおよそ250万年の滞留時間をもち、除去フラックスは炭酸塩へのSr共沈が担っている。Srの安定同位体比(88Sr/86Srの千分率偏差d88Sr)は、炭酸塩の沈殿時に86Srが優先的に取り込まれるため、炭酸塩の沈殿量の増減に伴って海水のd88Srが変化する。海水のd88Srの復元には生物源炭酸塩が広く用いられるが、d88Srに対する環境因子ならびに生物因子の影響評価が重要で、海水d88Srの復元の確度に直結する。本発表では、太平洋の水深30〜1500mから採取した宝石サンゴ(水温2.5〜19.5℃)と呼ばれる高Mgカルサイト骨格をもつ八方サンゴのd88Srの温度依存性をダブルスパイク表面電離質量分析法による高精度Sr同位体測定によって評価した。宝石サンゴのd88Srの平均値は0.101±0.023‰とほぼ一定の値を示し、水温の影響は0.0011±0.0005/℃とわずかであった。海水-骨格間の Sr 同位体分別の大きさは-0.291‰で、海水-骨格間のSr/Ca比の分配係数(Kd)の変化には影響されない。宝石サンゴ骨格は、海水88Srの優れた記録媒体である。

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