日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G7 素過程を対象とした地球化学
水田土壌中の酸化還元サイクルにおいて粘土鉱物構造中の鉄が果たす役割の精密解析
*清水 優希高橋 嘉夫増田 曜子佐藤 咲良小暮 敏博妹尾 啓史
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p. 142-

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抄録

鉄(Fe)が示すFe2+とFe3+の酸化還元反応は、地球大気の進化や微生物の代謝と深く関わっており、地球化学的な観点から非常に重要である。本研究で扱う水田土壌においてもFeの酸化還元状態や化学種は様々な元素(ヒ素やカリウムなど;Takahashi et al., 2004; Khaled and Stucki, 1991)の挙動に大きな影響を与える。しかし、これまでは、粘土鉱物(Stucki, 2011)や土壌中のferrihydriteの酸化還元状態のみが個別に注目されてきた。本研究では、水田土壌中のFeを含む粘土鉱物(主に2:1型粘土鉱物であるsmectite)が、これまでferrihydriteの沈殿-溶解のみが強調されることが多かった土壌中の酸化還元反応にどのように関与ししているかを精密に解析することを試みた。特にGorski et al. (2012)によれば、smectite構造中のFe2+/Fe3+比は幅広いEh範囲で変化するため、Fe2+/Fe3+比に応じて異なる還元力(酸化力)を持つと考えられる。土壌中の水酸化鉄がFe2+に還元・溶解後に粘土鉱物構造中のFe3+により酸化され、ferrihydriteやlepidocrociteが生成する可能性があり(Géhin et al., 2007)、この過程にも着目した。

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