主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 219-
生体内や環境中のヒ素(As)、セレン(Se)濃度の監視は、その潜在的毒性から重要といえる。誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)はこの用途で最も優れた手法のひとつだが、75As+に対する40Ar35Cl+, 150Sm++や、80Se+に対する40Ar2+, 160Gd++などの干渉が問題となる。これを回避すべく、最新のトリプル四重極ICP-MS(ICP-MS/MS)を用いたO2あるいはO2/H2混合ガスリアクションモードによる16Oマスシフト法が提案されている。しかし本手法では、反応セル内でSmO2++やGdO2++などの新たな干渉イオン(REEO2++)を副次的に生成する可能性がある。そこで本研究では、干渉影響の最小化を目的とし、REEO2++干渉生成率と装置条件の関係を系統的に調査した。その結果、As, Seの同位体全てにREEO2++が干渉しうることが確認された。またREEO2++生成率はH2流量と概ね正の相関関係にあり、その生成経路へのH2の関与が示唆された。一方で、H2の存在はAsO+, SeO+生成率を増加させるため、As, Se感度を優先してH2流量を決定した場合、重大な干渉を生じる可能性がある。