主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
回次: 72
開催日: 2025/09/07 - 2025/09/19
p. 139-
リュウグウ母天体の高アルカリ・還元的水環境(pH 11, Eh -0.5 V)下での遷移金属挙動を調べるため、嫌気条件でMn, Ni, Cu, ZnのXAFS分析と吸着実験を実施し、溶存濃度を推定した。結果、濃度は吸着反応で制御され、[Mn²⁺]≒10⁻⁵、[Ni²⁺]≒10⁻⁶、[Cu²⁺]≒10⁻⁸、[Zn²⁺]≒10⁻⁸ mol L⁻¹と算出された。室内実験で行われたホルモース反応ではCu添加系が他遷移金属の約3倍の糖収率を示したものの、実際のリュウグウ水中でのCu濃度は低く、リュウグウ水中のCa²⁺(1.2×10⁻⁵ mol L⁻¹)の触媒優位を覆さなかった。したがって、リュウグウ水中では遷移金属濃度は硫化物への吸着で支配され、またリュウグウ母天体水中における前生物的有機合成への寄与は限定的と考えられる。