主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
回次: 72
開催日: 2025/09/07 - 2025/09/19
p. 31-
ウラン(U)は,地下水の酸化還元状態(Eh)に応じて安定な酸化数と溶存性が変化する.この変化に伴い,ウラン同位体比(234U/238U比)の値も変動することから,234U/238U比は地下水環境中のUの挙動を把握する指標として応用が期待されている.本研究では,研究例の少ない火砕流堆積物を主な帯水層とする地下水の234U/238U比について,熊本県阿蘇山西麓地域を対象に広域的な分布を調査したのち,Eh変化に伴う234U/238U比の変動性と,地下水中の溶存重金属元素の濃度との関係性について評価した.分析の結果,234U/238U比は先行研究で報告されている堆積岩を帯水層とする地下水と同程度の値をとり,地下水の流路ごとに特徴的な値を示した.また,234U/238U比はEh 約+150 mV,Fe濃度はEh 約+100 mV,As濃度はEh 約+50 mVを境に還元的な環境で値の上昇がみられたことから,234U/238U比は地下水環境中のUの移動性だけでなく,Asの移動性を評価する際のEhの把握にも有用であると考えられた.