地質学雑誌
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特集 日高衝突帯研究の最近の進歩 (1) -その深部過程と上昇過程
日高変成帯主帯に分布する高変成度角閃岩類の原岩推定および北部日高帯緑色岩類との比較
川浪 聖志中野 伸彦小山内 康人加々美 寛雄大和田 正明
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2006 年 112 巻 11 号 p. 639-653

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抄録
北海道の中軸部に分布する日高帯の南部地域には,変成岩類と深成岩類が広く分布し,日高変成帯主帯と定義されている.主帯には,角閃岩相~グラニュライト相の変成作用を被った角閃岩類(主帯角閃岩類)が分布する.一方,日高帯北部地域は,主に堆積岩類から構成され,しばしば緑色岩類(北部日高帯緑色岩類)を含む.本論では,同位体組成を含む全岩化学組成を基に,主帯角閃岩類の原岩を推定し,北部日高帯緑色岩類と比較した.主帯角閃岩類は,主成分・微量・希土類元素組成およびNd同位体比初生値から,北部日高帯緑色岩類は主成分元素および微量元素組成からN-MORB起源であると考えられる.両者のSr同位体初生値は,同位体的相互作用の影響を受け一般的なMORB組成よりも高いが,両者の間で調和的な値を示す.したがって,主帯角閃岩類と北部日高帯緑色岩類の原岩は,N-MORB起源の同一の火成作用によって形成された可能性が高い.
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© 2006 日本地質学会
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