地質学雑誌
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長野地域猿丸層のT 1,T 4火山灰層と新潟地域のYkp(浜忠層), SK 110(魚沼層群)火山灰層の対比
青木 豊樹黒川 勝己
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1999 年 105 巻 7 号 p. 473-479

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抄録
長野地域の猿丸層基底部のT 1火山灰層, 上部層上部のT 4火山灰層は, 新潟地域の浜忠層基底部の吉川パミス質(Ykp)火山灰層, および魚沼層群中部層基底部のSK 110火山灰層にそれぞれ対比される.T 1およびYkp火山灰層は多孔質型ガラスが多く, 重鉱物はホルンブレンドと斜方輝石を主とするガラス結晶質火山灰層で, 火山ガラス, ホルンブレンド(mg*=0.70-0.72)および斜方輝石(mg*=0.60-0.65)の化学組成はそれぞれ一致する.T 4およびSK 110火山灰層はともに扁平型ガラスが多く, 黒雲母が多いガラス質火山灰層で, 火山ガラスの化学組成は一致する.以上のことから, 猿丸層の新潟地域の浜忠層(西山層下部)基底部から魚沼層群に対比され, その年代は鮮新世前期末に始まり更新世前期にわたる(約3.9~1.6 Ma)と考えられる.これらの対比から, 北部フォッサマグナ地域において長野地域と新潟地域とは顕著な同時異相関係にあったことが年代論的にも明らかとなった.
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© 日本地質学会
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