抄録
東北日本における中期中新世の高精度な複合微化石層序を樹立することを目的として, 岩手県一関地域の中新統について微化石群集の検討を行った.一関地域の中新統は下位より下黒沢層(再定義), 上黒沢層(新称)と厳美層とに区分される.上黒沢層は下黒沢層を部分不整合に覆い, 厳美層は上黒沢層を不整合に覆う.このうち海成層の下黒沢層および上黒沢層は珪質・石灰質を問わず微化石を連続的に産する.産出した微化石から, この地域の下黒沢層および上黒沢層はBlow(1969)の浮遊性有孔虫化石帯N. 10~N. 14帯に, Okada and Bukry(1980)の石灰質ナンノ化石帯CN 5 a~CN 5 b帯に, Yanagisawa and Akiba(1998)の珪藻化石帯NPD 4 Bb~NPD 5 C帯に, 本山・丸山(1998)の放散虫化石帯E. inflatum A~L. magnacornuta帯に対比されることが明らかになった.