抄録
目的:死が切迫していない状況の患者·家族に主治医が終末期医療の選択·意思決定に関して説明し,その効果を検討する.方法:療養病棟と回復期リハビリテーション病棟へ入院した患者を主治医から終末期医療に関する啓発を行う224名(介入群)と行わない114名(非介入群)に分け,退院後に終末期医療の選択に関する質問紙調査を実施し,計104通(30.8%)の回答を得た.結果:「以前に家族で終末期医療のあり方について話しあった」割合は介入群50.7%と非介入群40.0%と有意差を認めなかったのに対し,「家族で退院後に患者の終末期について話し合った」割合は介入群(42.0%)が非介入群(31.4%)に比べて有意に高かった(P=0.015).介入群では主治医による説明で86.7%が人工呼吸器,経管栄養について「理解できた」と回答し,「家族の推定意思」については59%が「理解できた」と回答した.その一方,非介入群では,それぞれの用語についての認知度は3∼4割にとどまった.終末期医療に関する説明を受けるタイミングについて尋ねたところ,介入群では37名(53.6%)が「説明を受けるタイミングが良かった」など時間的余裕のある時期を希望する回答が多く,状態急変時に説明してほしいという希望は有意に少なかった.介入群では今回の終末期に関する説明は45名(65.2%)が「参考になった」と答え,さらに42名(60.9%)が回答者自身の参考になったと答えた.結論:療養病棟や回復期リハ病棟で終末期医療の選択·意思決定に関する啓発を行い,患者·家族の受け入れはおおむね良好であり,退院後家族でこの問題に関する話し合いを促す効果が認められた.短時間ではあるが医師との話し合いにより終末期医療の理解を深め,退院後には家族の話し合いが多くなる可能性があると思われた.