日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
運動器の機能向上プログラム参加者の運動介入効果と栄養状態との関係
新井 武志, 大渕 修一
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 48 巻 4 号 p. 369-377

詳細
抄録
目的:本研究では運動器の機能向上プログラムに参加した特定高齢者(2次予防対象者)のベースラインのBMIやアルブミン値といった栄養指標と運動介入による身体機能の改善効果との関係を検討することを目的とした.方法:対象は東京都A区の運動器の機能向上プログラムに参加した地域在住高齢者44名で,平均年齢は73.9歳であった.対象者は筋力増強運動を中心とした運動プログラムを週2回,約3カ月間実施した.運動介入の前後で有意な改善を示した身体機能の変化量を算出し,ベースラインのBMIおよび血清アルブミン値の中央値で2分した高値群と低値群の2群に分けて平均値を比較検討した.解析にはMann-WhitneyのU検定を用いた.また,ベースラインのBMIおよび血清アルブミン値と変化量の相関関係について,年齢と性別を調整した偏相関係数を用いて検討した.結果:運動介入の前後で5 m最大歩行時間,ファンクショナルリーチ,Timed Up & Go,膝伸展筋力(以上P<.01)および長座位体前屈(P<.05)が有意に改善した.有意な改善を示した身体機能の変化量のうち,最大歩行時間の変化量は血清アルブミン値の低値群が高値群に比較して有意に大きくなった(P<.05).その他の変化量については2群に有意差を認めなかった.また,事前のBMIや血清アルブミン値と身体機能の変化量の間にはいずれも有意な相関関係は認められなかった.結論:本研究の結果では,栄養指標が低値を示す者の身体機能の改善効果が必ずしも低くなるとは言えない結果となった.今後は対象数を増やし,他の栄養指標の影響などを含め,栄養状態と運動機能の改善効果の関係をより詳細に検討していくことにより,ケアマネジメントや運動介入方法の検討に役立つ情報が提供できると考える.
著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top